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                                                               '08/7/1





〜 システム更新の進め方 〜



久し振りにこのコラムを書く順番がまわってきました。
今回はこのところ私たちが多く手掛けているシステム更新の仕事について、
思うところを書いてみます。

ホームページの実績紹介に載せているように、我が社ではWindowsパソコン
とPLCを組み合わせたシステムを多く納めてきました。
この簡易DCSとも呼ばれるSCADAシステムは90年代半ば頃から、それまでの大手電機メーカーの
DCSにとってかわって急速に普及してきました。
これは、FAパソコンというある程度(10年近く)の寿命が期待できるハードウェアの活用と、
WindowsNT系の登場で、パソコン自体が一定の信頼性を得たためでもありますが、
このとき数多く納めたWindowsNT4.0のパソコンがそろそろ更新すべき時期にきています。また、
パソコンだけではなく90年代半ば頃に納めた計装盤は、そろそろ故障率曲線(バスタブカーブ)
でいうとことろの摩耗故障期に入ってくる頃と思われます。
さらにPLCに関しては、使用している機種が生産中止となり後継機種へ更新する必要が生じて
いるものもあります。

こうしたことからFAシステムの更新におけるトータルエンジニアリングのニーズはまだまだ続く
ものと思われ、我が社ではこの様なニーズに対応すべく体制を整えてきました。

最近の具体的な更新例としては、PLC機種では、三菱AシリーズからQシリーズへの更新、
さらに横河電機や日立製PLCから三菱Qシリーズへの更新も手掛けました。パソコン側の構成では
WindowsNT4.0+FIX6.15のシステムを、WindowsXP+iFIX4.0に更新しました。
今後は、WindowsVISTA+iFIX4.5の組合せへの更新を検証していく予定です。

さて、システムを更新するからには単にハードを新しくするだけではなく、
お客様、特に実際にシステムを運用される製造スタッフの方に、
『前より便利になった』と言ってもらえる仕事をしたいものです。

通常、私たちの仕事の引き合いは、エンドユーザー殿のエンジニアリング担当部署(生産技術部等)の方からお話をいただき、その方との打合せにより、仕様確認、見積り、受注と進みます。
その後の詳細設計に関しても、エンジの方に御確認をいただいて製作を進めます。
機器のリニューアルが主目的のシステム更新の場合、ソフトを忠実にコンバートする制御仕様が基本となり、結果的にこれを満たせば検収を上げてもらえます。

しかし残念ながらこの進め方では、製造スタッフの方からみると更新前と何も変わってないことになり、あまり喜んでもらえません。
私は、システムベンダー側のエンジニアが、受注後のできるだけ早い時期に、製造スタッフの方から直接、改善点をヒヤリングすべきと考えています。
このときに、例えば、操作ミスをなくすための自動化を要望されても、もちろん費用、納期のあることですからお受けすることはできないでしょう。

しかしながら、どのような操作ミスが問題となっているのかをSEが把握すれば、コストのかからない方法で、その操作ミスを少なくする、あるいはミスによる影響を最小限にする方法を提案できると思います。
生産ラインを停止して実機を更新する前には、たいていの場合、製造スタッフの方に机上シミュレーション試験を実施していただきます。生産ラインが運転している時期での試験ですので、製造スタッフの方にとってはかなりの御負担になるはずです。

製造スタッフの方の御苦労に応えることのできるよう、SEとしては、『前より良くなった』と言ってもらえるシステムに更新することを意識して仕事をしたいと思っています。