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〜FL−netとは〜


今回は、マルチベンダーオープンネットワークのFL-netを紹介します。

FL-netは、FA分野用途向けの異機種接続を可能とする、コントローラレベルのオープンネットワークです。
前回ご紹介した下位のデバイスレベルネットワーク(フィールドネットワーク)での標準化が進んでいるDeviceNetや、CC-linkや、より上位の管理情報系レベルのネットワークにおいて、事実上の世界標準になっているEthernetの間の中間に位置するネットワークの標準化であり、 各社のプログラマブルコントローラ(PLC)や数値制御装置(NC)、ロボット制御装置(RC)などを同一ネットワークで接続することができます。

(図1 階層別システム構成図)
   

古くは、国内においてME-NET というコントローラネットワークが1990 年に公開され,自動車関連業界を中心としてかなり多く導入されましたが、参加するメーカーや機器が広がらず本当の意味での標準にはなりませんでした。

さて、FL-net特徴ですが、
・Ethernetをベースにしているので安価にネットワーク構築できる(パソコンのアダプタもPLCアダプタもEthernetアダプタを流用)
・ ノードの脱着がオンラインで可能である(プラグ&プレイに対応)
・ 大量のデータを高速にプログラムレスで伝送できる(サイクリック伝送機能を持っている)

特に3番目のサイクリック伝送機能は(データリンク機能ともいう)PLCに詳しい方ならば良くご存知の機能で、PLC間でデータを簡単に共有する機能です。
大容量(ビットデータで8K、ワードデータで8K)で多数のコントローラ(最大254ノード)が高速(50ms以内保証)にデータを共有できます。
しかも通信プログラムの記述が不要で、通信処理を全てアダプタ(カード)側で処理をしてくれます。データリンク機能は、三菱PLCの「MELSECNET/10」、オムロンでは「SYSMACLINK」と呼ばれるPLCネットワーク上では実現されていました。

(図2.データリンクの概念)
    リアルタイム性を要求されるPLC間のデータ制御を,サイクリック伝送
    によりに行うネットワークです。各ノードの書き込みエリアがあらかじ
    め決めておき、他のノードは自分以外のノードエリアをリアルタイムに
    に参照する事が出来ます。
   
今まで、この機能を利用するには同じメーカのPLCでネットワークを構成するしか手がなかったのですが、FL-netでは違うメーカのPLCやNC、RCでもこの機能を利用することができるようになりました。
ということは、大規模な制御システムを構築する場合に設備各々のPLCメーカなどどこであっても気にせずにネットワークを組むことができるます。
また、パソコンなども同じネットワーク上で通信プログラムの記述なしで情報収集やデータ設定が可能になるのです。

私達のようなプラントエンジニアリングを主体としている会社としては待ち望んでいた標準ネットワークです。
今までは監視制御システムのネットワークをパソコンやPLCで構成する場合、特にPLC間の制御情報(シーケンスのインターロックや制御用パラメータ等)を高速で交換する必要がある場合に同じメーカのPLCで無理にも統一しなければなりませんでした。
そうすると、ネットワークに参加する装置メーカの標準組み込みPLCが違うメーカの物である場合、特注コストが余分に発生します。

また違うメーカPLCのままネットワーク化する場合、EthernetのTCP/IPプロトコルなどを利用して通信プログラムを組まなければなりません。
当然、スピードも信頼性も低下し(TCP/IPでは衝突の可能性があるのでリアルタイムにデータ交換を保証できない)工数も余分に掛かってしまいます。
また既存の装置などもそのままコントローラを変更せずにシステム化していく可能性も高まります。
これらは当社にも当然ユーザー側にしても非常にメリットがあることなのです。

現在、FA関係の展示会などで毎回のように各社のPLCを接続したMSTCのデモンストレーションが行われており製品化もされています。
また、SCADAソフト(FIX DMACS)との接続ドライバーもすでに開発されています。
当社でもH社とM社のPLCとパソコン(FIX DMACS)での接続テストをアプリケーションレベルで終えております。

今後他社でも続々と「FL-netアダプタ」が製品発表されてきそうです。
ME−NETの時と比べても対応メーカの数も違いますし、是非コントローラネットワークレベルの標準化が成功することを願っているところです。