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〜 フィールドネットワークの動向(DeviceNet Vs. CC-Link) 〜


今回は、私の個人的な経験から、現在のフィールドネットワークの動向に関して書いてみます。

弊社では、プロセス監視制御の分野で、パッケージソフトを活用したパソコン システム(SCADA)を数多く扱ってきました。しかし、制御という点では、その ベースは、信頼性の面からやはり、PLCを用いています。したがって、弊社で扱う フィールドネットワークの多くは、PLCをマスターとし、スレーブ側にセンサーや アクチュエータ、あるいはI/Oユニットを接続するという構成になります。
このため、システムにどのようなフィールドネットワークを用いる かは、PLCのメーカーをどこにするかでかなり限定されてしまうこととなります。
その組合せは、大方、次の通りです。

<PLCメーカー>  <フィールドネットワーク>
 三菱         CC-Link
 オムロン       DeviceNet
 横河電機      DeviceNet
 日立         DeviceNet、JPCN-1

このうちJPCN-1は、私は用いたことがないため、言及は避けます。
(あまり、普及していないようですし・・・)

さて、問題は、使いたいセンサーやアクチュエータがフィールドネットワークに 対応しているかどうかですが、プロセスオートメーションの分野の主だった機器は、 たいてい、CC-Link、DeviceNetのどちらにも対応していると思っていいようです。
(Profi-BUSなど他のフィールドネットワークには対応していない場合がありますが)
例えば、最近、私の扱ったことのある機器では、コガネイの電磁弁、ユニパルスの 計重器、エムシステムの変換器を、CC-Linkで接続して用いましたが、これらの機器 は、DeviceNetにも対応しているということです。
PLCにオムロンを用いていれば 当然、DeviceNetで接続していたところですが、この時は、客先での保全性を第一に 考えて、三菱のPLCを用いることになり、その結果、CC-Linkを使うことになりました。

このように、弊社では、総合的な判断でPLCのメーカーをまず決めて、その仕様 に合わせてシステム設計を進めますので、コントローラ間ネットワーク、フィールド ネットワークとも、その形態は自然と決まってしまうことになります。これは、どこ のエンジニアリング会社も同じ(大手電機メーカーの系列なら尚のこと)でしょう。
そのため、国内では、PLCで圧倒的なシェアを占める三菱の影響力が大きくなり、 フィールドネットワークの世界でも、CC-Linkが、世界的なデファクト・スタンダード であるDeviceNetと肩を並べるというような現象が生じています。
こうした状況は、 それぞれのサポート体制強化、ベンダー数の増加につながり、ユーザー側からすると、 歓迎すべきことといえるでしょう。また、施工方法や通信速度は変わらないにしても、 その使い勝手も、競争によりよくなっていくことでしょう。

ここで、現状でのDeviceNetと、CC-Linkの使い勝手を比較してみると、私としては CC-Linkの方がいい、というか、性に合っていると感じています。DeviceNetの方は、 オムロンのPLCをマスターとして使用しましたが、コンフィグレータというものを 使用しなければならないという点でかなり違和感を持ってしまいました。 各ノードの信号をPLC内のどのアドレスに割り付けるかという設定を行うためですが、CC-Linkのようにラダーで記述するか、あるいはプログラミングツールで設定できるよう にしてもらいたいものです。PLCのI/Oに過ぎないもののためにEDSファイルなど というものが必要だというのにも辟易、というのは私だけではないと思いますが。

いずれにしろ、三菱が大きく方針を変えることがない限り、三菱のCC-Linkと、 他のPLCメーカーの提唱するフィールドネットワーク(DeviceNetが一番手)が、 競争を続けてくれることでしょう。
もしかすると、その結果、PLCの国内シェアまで大きく変わることがあるかもしれませんね。

参考までに、DeviceNetと、CC-Linkの 比較表を作ってみました。それぞれの関連のサイトで、できるだけ最新の情報を集めたつもりですが、誤りがありましたら御指摘ください。⇒


【キーワード】
デファクト・スタンダード(defacto standard)
直訳すると『事実上の標準』、一般的には『業界標準』の意味で使われています。 特定の機関や団体による認定とは関係無く、市場(業界内)で最も認められているということを指します。 (de facto:ラテン語で『事実上の』の意味)
“デファクト化”という言葉の使い方をよく目にしますが、これは他に先んじて いち早く圧倒的なシェアを獲得して、ユーザーに対して“これが標準”と印象付ける ことにより、優位に立とうとする 企業の戦略の意味で使われているものと思います。