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〜SCADA/HMIパッケージソフトの動向〜

 先日、RSView32のセミナーに出席し、同業他社の方々といろいろ情報交換する場を 持つことができました。そこで今回は、SCADA/HMIパッケージソフトの動向に関して 書いてみることにします。

 いまや、製造現場における監視制御システムの構築に欠かせないものとなりつつある SCADAソフトですが、DOS版のFIXのころから関わってきたものから見ると、日本国内で ここまで普及するには、下記のように、いくつかのプロセスを経てきたように思います。 それは、ユーザー側の認識、ベンダーのコンセプトの変化に密接に関連していました。

 まず、SCADAソフトが一般に認知されるまでの時期は、我々システムサプライヤー側で、 その開発コストの低減を売り文句に、ユーザーに提案してまわっていました。この時期には、 パソコン及び、そのOS自体の信頼性、安定性に関して問題にされることが多く、また、 CIM化に向けた動きに対しては、SCADAがあまりに機能不足ということもあり、その用途は シンプルな監視システム向けに限定されていたように思います。私が半導体工場向けに、 DOS版のFIXを用いて、設備監視システムを導入したのがこの時期でした。

 その後、ユーザー側で、SCADAパッケージの機能が正しく理解され、その導入目的が 明確になってくると、大手飲料メーカーなどでは、全社統一して、特定のSCADAソフト を導入するといった動きがでてきました。先行していたIntellution社とWonderware社が 一気にシェアを押さえました。不思議と国内の大手電機メーカーはこの動きには追随 せず、自社の専用コンピュータを用いたシステムにこだわり、後手にまわった感があり ました。その結果として、我々のようなシステムインテグレータがエンドユーザーから 重宝されることになったように思います。パソコンのOSに関しては、Windows3.1で一時、 泣かされましたが、WindowsNTベースになって安定性を実現できるようになりました。 この時期は、SCADAソフトの標準機能(特性を活かしたアプリケーション)で対応できる ようにユーザー側で運用方法を考えてもらうという基本方針がありましたが、しかしながら 実際の製造現場ではそうそう一筋縄ではいかず、度々、こちらで特殊なアプリケーション を組む必要にせまられました。国内の幾つかのソフトハウスから、各SCADAソフト用の アドオンソフトが提供され、多少、応用が効くようになりましたが、柔軟性という点では 課題が多かったように思います。

 そうして、ここ数年、ベンダー側から新たなコンセプトのパッケージが提供されるよう になってきました。その特徴は、ユーザーあるいはSEが、柔軟にカスタマイズ出来ると いう点です。(ある雑誌では、アドバンスド・ユーザー向けという言葉を使っていました) Intellution社では、iFIX(アイ・フィックス)がこれに相当します。そして冒頭で記しました RSView32は、まさにこの柔軟性、拡張性に重点をおいて開発されたソフトのようです。 これらのSCADAパッケージに共通しているのは、VBA(Microsoft Visual Basic for Applications)を採用している点で、そう聞いただけで、Windows系のSEの方々ならば いろいろな可能性を想像できるのではないでしょうか。また『VBでアプリを組む』と言うと、 プラグラマの仕事のように聞こえますが、現在では多くのOfficeユーザーが、EXCELや ACCESSでVBAを少なからず経験していて、多少の変更であれば抵抗を感じないの ではないかと思います。つまり、SEが、設計、カスタマイズして作成した機能を、さらに、 エンドユーザー自身が好きなように改造するということも可能になるのではないかと 思います。しかし、位置付けとしては、やはり、これらのソフトは、エンドユーザーが数日 のトレーニングで気軽に用いるというレベルのものではないようで、そのレベルの製品 としては、Intellution社ではFIX32のVer.6.15の後継でVer.7.0が出ており、グラフィックの 作画や、基本的なプラントデータの収集が目的であれば、こちらを使用すべきでしょう。

 SCADA/HMIパッケージの動向は、だいたい以上のようなところです。まとめますと、 現時点では、気軽に使えるエンドユーザー向け製品と、システムインタグレータ向けの 製品を、開発コストも含め価格検討しつつ、ケースに応じて使い分けていく必要がある ということになるのでしょう。さらに少し付け加えておきますと、デジタルのGP2000シリ ーズのように、従来からあるタッチパネルも、かなり進化して使い勝手が良くなってきて いる点も見逃せないところです。実際、私も、昨年から今年にかけて半導体工場向け システムで、GP2600-TC11を、メッセージ表示と、簡単なデータ設定という用途に限定 して使用しましたが、かなり拡張性があるように感じました。こうした状況の中、国内で、 RSView32がどのようなポジションで伸びてくるのか、正直なところ、私にはまだわかり ませんが、安価で、オムロンによるトータル
ギャランティが得られるのであれば、 RSView32とSYSMACという組み合わせは、システムを計画する際の選択肢に入れておく必要がある ように思います。
(オムロンは、ロックウェルとの提携によりRSView32を扱っています。)


◆参考資料:OMRON SYSMAC OPC Serverの設定画面

1.OMRON SYSMAC OPC Server(Ver.2.1)メイン画面


2.デバイスの新規作成














・Fins Gatewayの設定内容にあわせる。
『シミュレーションI/O』をチェックすると、通信を行わず、シミュレーションモードで稼動できる。

3.デバイスの下にグループを作成して、TAGを作成














・作成したTagは、RSView32用にエキスポートできる。


◆参考資料:RSView32の作画画面